【消費税10%移行】風俗業界とインボイス制度について考える

いよいよ2019年の10月から導入される消費税10%増税。

料金システム改定などの準備に風俗店も大わらわ。今のうちに少しでも安く遊んでおこうとするお客様の「駆け込み需要」もあって、対応に忙しい日々を送っていることでしょう。

そんな中、風俗業界にとって消費税増税より深刻な影響が懸念されている制度があります。

それは「インボイス制度」

インボイス? 何それ、おいしいの? なんて思っているあなた、結構この制度、インパクトが大きいので要注意です。

今回はちょっと真面目に、風俗経済学に迫ってみたいと思います!

 

 

インボイス制度は何がヤバいのか?

一般社団法人「ホワイトハンズ」代表の坂爪真吾氏が、インボイス制度についてこんな風に警鐘を鳴らしています。

「インボイス制度、マイナンバーや東京五輪よりもはるかに業界に与える負の影響が大きいので、業界全体で勉強&対策&政策提言していかないと、かなりヤバイことになるのでは、と思います」

— 坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 (@whitehands_jp) 2019年8月20日

 

風俗業界にマイナンバー以上のインパクトを与えるという、この「インボイス制度」。実はよく知らないという方も多いのではないでしょうか(筆者もそうでした)。

インボイス制度とは何なのか? Wikipediaにはこんな記述がありました。

インボイス方式(インボイスほうしき)とは、仕入税額控除の方式の一つで、課税事業者が発行するインボイス(請求書等)に記載された税額のみを控除することができる方式のことである。

……ちょっと何を言っているのかよく分かりませんよね。

筆者も経済には明るくないのですが、調べてみたところ、インボイス制度(方式)は消費税増税に伴う「軽減税率」の導入と密接な関係があるようです。

 

 

インボイス制度の罠とは

軽減税率とは「低所得者に経済的な配慮をする」という目的のため、生活の必需品である食品などの税率を消費税率8%のまま据え置きして運用するもの。

つまり、2019年10月からは10%と8%の複数の税率が混在することになります。

それだけ聞くと「何だ、いいことじゃないか!」と思いますよね。

しかも、風俗は生きていく上でどうしても必需品というものでもないため(いや、一部のヘビーユーザーには確かに必須ですが)、「軽減税率と言っても、風俗業界には関係ないね」と思ってしまいがちですが……どうやらそれは大きな間違いのようなのです。

 

ここで関わってくるのが、今回のテーマである「インボイス制度」

インボイスとは、簡単に言えば「請求書」のことを指します。

軽減税率導入後は、税率10%と8%の商品ごとに請求書を作成することになります。この商品ごとに消費税率や消費税額が記載された請求書をインボイス(=適格請求書)と呼ぶのです。

ここで、先ほどのWikipediaの説明を思い出してみてください。

インボイス方式とは「課税事業者が発行するインボイスに記載されている税額のみを控除できる制度」とされていましたよね。

問題となるのは「課税事業者」の箇所です。

風俗店が在籍女性に支払っている報酬には、消費税が掛かります。

しかし、従来の風俗嬢の大半は「免税業者」(基準期間の課税売上高が1,000万円以下)なので、風俗店が国におさめる消費税は基本的には「お客様からいただいた消費税」から「女性に支払った消費税」を引き算(控除)した金額でした。(下記の「今まで」を参照)

ところが、インボイス制度の導入後は、ここにひとつの問題が生じます。

インボイス制度導入後は、「適格請求書」(インボイス)がないと「控除ができない」ので、風俗店はお客様からいただいた消費税分をまるまる負担することになってしまいます。

わかりやすく言えば、本来なら女性が支払う消費税を代わりにお店が払わなくてはならなくなる、ということです。

□今まで

【お客様】→22,000円支払い(内2,000円が消費税)→【お店】→11,000円を支払い(内1,000円が消費税)→【女の子】

お店はお客様からの消費税2,000円から、女の子へ支払った消費税1,000円をマイナス(控除)して、残りの1,000円を消費税として国に納付。

□インボイス制度導入後

【お客様】→22,000円支払い(内2,000円が消費税)→【お店】→11,000円を支払い(内1,000円が消費税)→【女の子】

女の子がインボイスを発行しない場合、お店はお客様からの2,000円をそのまま全額国に納付。つまり、今までの2倍の税負担です。(バック率などで倍率は変わります)

※インボイス制度については「日刊デリヘル経営」さんも、お店の消費税負担額は現状の2倍以上になるとの試算を発表しています。

これは資金力がない風俗店にとっては想像以上に大きな負担になるでしょう。インボイス制度が実施されると「やっていけない」「割に合わない」と廃業する風俗店が続出するかも知れないと噂されていますが、あながちそれも大げさではないかも知れません。

廃業とまではいかなくても、人件費や広告費のコンパクト化などさらなる経費削減を迫られる可能性は高いと言えそうです。

 

 

風俗業界とインボイス制度:まとめ

インボイス制度は2023年10月1日から導入される予定。

女性に支払っている消費税の控除(仕入税額控除)が適用できないと風俗店がその分も負担することになるため、風俗店としては料金の値上げ、女の子のバック率の圧縮、などの対応を検討するかもしれません。(世の中的には、免税事業者や非適格請求書発行事業者とは取引をすること自体を辞める可能性がある為、年間の課税売上が1,000万以下のフリーランスの方々に仕事がまわらなくなる事が懸念されています。)

尚、一定の要件を満たす場合には、インボイス制度の開始後6年間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられていますので、詳しくは国税庁の資料をご覧くだい。

 

 

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廓(くるわ)だん吉

風俗雑誌の編集部を経て、現在は風俗&アダルト関連記事のライターとしてウェブサイトをメインフィールドにコラムを執筆中。柔らかい記事からちょっと社会派な硬い記事まで大局的な視点で風俗業界を斬っていきます♪


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